リトアニア 「原発」国民投票特集

リトアニア 「原発」国民投票特集

2012年10月14日、リトアニアでは、総選挙と同時に、[日立+GE]製の「原発」建設の是非についての国民投票が行われました。
「リトアニア共和国に新規原子力発電所を建設すること」に賛成するか反対するか、主権者・国民はその意思表示を行います。以下は14日当日の投票風景。


ビリニュス市内にある第65投票所にて。
現地時間14日9時30分撮影。

◆投票用紙◆
「リトアニアに新しい原発をつくることに賛成です」
【こういうふうに印を入れてください】
『はい』
『いいえ』


私たち、「みんなで決めよう『原発』国民投票」は、今井一事務局長と調査チームをリトアニアに派遣し、政府や各党の動きのみならず、投票日前後のまちの様子、まちの人々の国民投票に対する意見などを調査・取材し、リポートします(市民意識調査の速報⇒「【速報】リトアニア「原発」国民投票に関する市民の意識調査」。

帰国は17日で、19日には東京、21日には大阪で「報告会」を行います。


●「原発」国民投票に至る経緯
リトアニアは、1990年にソ連から独立する前から、原子炉を2つ備えるイグナリナ原子力発電所を稼動しており、国内電力の大部分を供給していた。しかし、2004年に1号機、2009年末に2号機の稼動を停止して、現在はその廃炉作業が進行している。

リトアニアがイグナリナ原発の停止を決定したのは、EU加盟の条件としてチェルノブイリと同型の同原発の停止が求められたからだった。

2008年には、イグナリナ原発2号機の稼動延長について国民投票が実施され、投票者の89.95%が稼動延長にYESの票を投じた。しかし、投票率が最低投票率の50%に満たない48.44%だったため、その結果は無効となった。

原発が1機も稼動していない状況で、リトアニアは2011年に電力の65%を輸入しており、そのうちのほとんどをロシアからの輸入に頼っている。政府はEU諸国からの輸入を増やして、新規原発を建設することで、ロシアからの輸入を大幅に減らす計画を立てている。この新規原発はヴィサギナス原発と名づけられ、イグナリナ原発の隣に立てられる計画だ。

そして、2011年3月には日立製作所と改良型の沸騰水型炉(ABWR)の事業権付与契約を結び、同年6月にリトアニア国会により承認されている。新規原発の稼動開始予定は、2020-2022年で、リトアニアが38%の資金を出資するほか、日立が20%、エストニアが22%、ラトビアが20%を出資する予定だ。

2009年の時点では、世論調査で国民の73%が「原発を安全に稼動させることが可能」と回答するほど、リトアニア国民の原発支持は根強かった。しかし、福島第一原発の事故後、原発に対する国民の支持が低下してきている。

そんな中、野党の提案により、原発新設の是非を問う国民投票の議案が国会に提出された。同法案は、クビリウス首相に反対されたものの、2012年7月16日に過半数を超える賛成票で可決。10月14日の総選挙と同時に「原発」国民投票が実施されることとなった。なお、7月中旬に実施された世論調査では、原発新設反対が48%、新設賛成が19%という数字が出ている。
現地の情報は、
国民投票Twitterアカウントで随時紹介いたします↓



リトアニア原発建設予定地

赤い印は「原発」建設予定地。
ベラルーシおよびラトヴィアとの国境にも近い。
●リトアニアの国民投票制度
リトアニアは、1990年にソ連から独立してから、これまでに国民投票を10回実施している。そのうち、結果が有効になったのは4回。残りの6回は、最低投票率に達しないなどの理由で不成立となった。

最初の国民投票は、1991年、ソ連からの独立をテーマにして行われ、全有権者の76.44%がYESの票を投じた。その後、ソ連軍の即時撤退と補償(1992)、リトアニア憲法の承認(1992)、EU加盟(2003)の3項目でYESの結果が国民投票で成立している。

リトアニアには、法的拘束力のある国民投票と諮問型の国民投票の2種類があり、今回は後者、諮問(しもん)型の国民投票になる。諮問型の国民投票の場合、政府・議会が必ず結果に従わなければならないわけではない。しかし、国民の選択が明確に示されることにより、政治決定に大きな影響力を及ぼすことは間違いないだろう。

国民投票の発議方法には2種類がある。一つは、30万人以上の有権者の署名を集めること。この場合、議会の議決は不要で、署名が集まれば必ず国民投票が実施される。もう一つの方法は、議会で1/4以上の議員によって議案が提出され、過半数以上の賛成を得ること。今回は、後者の方法によって国民投票の実施が決定された。
今回実施されるリトアニアでの国民投票の主なルール

ルールを法的に定めた国民投票法が施行されたのは2003年1月1日。最終改正は12年9月12日。
今回は
第1条 国民投票の種類の2項、「諮問的国民投票 国及び国民に関する重要な案件」 
第2 国民投票の実施
 1 国民投票実施の提案
   国会(一院制)の4分の1以上の議員の賛成による提案 ★今回はこの条項によって実施
   国民投票実施の決議がなされた後、中央選管が投票案件について告示する
 2 国民投票実施の請願
   30万人以上の有権者による請願署名
   請願団体(15名以上)の結成と、中央選管への登録
   署名収集期間は、中央選管で署名用紙が交付されてから3か月以内

ヴィリュニス大学の日本人学生で政治学を専攻している方から、
原発国民投票の広告にどのような文言が書かれているか説明してくれました。
ここに書かれているのは国会議員を決める「選挙」と「原発国民投票」に向けての広告です。

◆投票用紙
「リトアニアに新しい原発をつくることに賛成です」
【こういうふうに印を入れてください】
『はい』
『いいえ』
●現地にて市民の意識調査を実施します
リトアニア「原発」国民投票に関する市民の意識調査(oct.2012)
 今回、「原発」建設の是非について国民投票にかけることになりましたが、あなたは、そのことに賛成ですか? 反対ですか?

 
【速報】リトアニア「原発」国民投票に関する市民の意識調査[リトアニア、ビリニュス 10月13日22時発]

リトアニアってどんな国?
リトアニア地図リトアニア共和国は、ヨーロッパ北東部の共和制国家で、バルト海東岸に南北に並ぶバルト三国の一つ。

第一次世界大戦後の1918年にリトアニア共和国として独立。1940年にソビエト連邦(ソ連)の侵略を受け、さらに1941年にはナチス・ドイツからも侵略されている。その後はソ連の構成共和国の一つとなっていたが、1990年に独立を回復し、再びリトアニア共和国となった。2004年には欧州連合 (EU) に加盟している。

首都は、同国最大の都市のヴィリニュス。公用語はリトアニア語で、人口の約85%がロシア語を話すことができる。人口は約300万(2011年)で、茨城県(297万:2010年)とほぼ同じ。総面積は65,200km2で、北海道(77,984km2)よりやや小さい。



リトアニア「原発」国民投票現地調査団の帰国翌々日の19日には東京で19時より、21日には大阪で18時45分より報告会を行います(詳細は下記参照)。ぜひお誘い合わせの上おこしください。
終了しました【大阪】10月21日(日)18:45~ シアターセブン BOX2
  • 10月21日(日)18:45開演(18:30開場)
  • 場所:シアターセブンBOX2(40名収容)
    (大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ5階)
  • 参加費:1,000円(一般)500円(学生)資料代込

お申し込み⇒ gvotekansai@gmail.com

メールの件名に「大阪 リトアニア報告会希望」

1.参加者氏名(参加者複数の場合は全員の氏名)
2.参加人数


をご記入の上、お申し込み下さい。


連絡先:gvotekansai@gmail.com
HP:http://gkokumintohyo.com/osaka/
リトアニア「原発」国民投票報告会チラシ(大阪版)
リトアニア報告会大阪

画像をクリックするとPDFが開きます。

終了しました【東京】10月19日(金)19:00~ YMCAアジア青少年センター 国際ホール
  • 日時:10月19日(金)19:00~20:30(18:30開場)
  • 場所:YMCAアジア青少年センター 国際ホール
    (東京都千代田区猿楽町2-5-5)
  • 参加費:500円

お申し込み⇒ kokumintohyoevent@gmail.com

メールの件名に「東京 リトアニア報告会参加希望」

1.参加者氏名(参加者複数の場合は全員の氏名をお願いします)
2.参加人数


をご記入の上、お申し込み下さい。

リトアニア「原発」国民投票報告会チラシ(東京版)
リトアニア報告会東京

画像をクリックするとPDFが開きます。





2012年11月8日