「アースディ東京2016」で模擬「原発」国民投票を実施しました

earthdayみんなで決めよう「原発」国民投票は、4月22日・23日の2日間にわたって代々木公園で開催された「アースディ東京2016」にブースを出展しました。

本年は、「原発」都民投票の会が「賛同」という形で一緒に参加してくれました。署名集めや会のチラシの配布を行ったほか、メインの出し物として<模擬「原発」国民投票>を実施しました。

<模擬「原発」国民投票>では、原発のこれからについて5つの選択肢を提示して、そのうちの一つを選んでシールを貼ってもらいました。これだけならただのシール投票ですが、今回は初の試みとして、参加者に選択肢を選んだ理由を書いてもらったり、他の人が書いた理由に賛同してもらったりしました。シールを貼ることで単純に自分の意見を表明するだけでなく、ブースの前で足をpanel止めてもらい、いろんな人のいろんな意見に接して、原発のこれからのついて考えてもらうことが目的です。理由は大きく「安全性」「供給」「コスト」「環境」「その他」の5つにカテゴライズして横軸とし、縦軸となる5つの選択肢とマトリックスを大きな模造紙に表現しました。

5つの選択肢に対する最終的な投票数は、次のようになりました。

【設問】現在ある原子力発電所について、これをどうすべきだと考えますか?

【選択肢と票数】

1) 即時ゼロ 397票
2) 10年後にゼロ 77票
3) 2030年代にゼロ 33票
4) 依存度を減らしていくがゼロの時期は定めない 49票
5) 依存度を減らさない 25票


hobo_zentai会場が環境問題に関心の高い人が多いアースディだったことから、票数としては圧倒的に「即時ゼロ」が多くなりました。即時ゼロの中でも「常に巨大なリスクを負わないといけない。核のゴミを処理できない」という意見(56票)と、「事故の被害(リスク)が大きい。日本壊滅さえありえた」(52票)に特に票が集まり、原発事故の被害の甚大性や放射性廃棄物の問題を理由として挙げる人が多かったです。一方、「ゼロの時期は決めない」や「依存度を減らさない」を選んだ人たちもいて票は各選択肢にばらけ、また皆さんが真剣にその理由を語ってくれました。

「依存度を減らさない」を選び、「競争力の低下、日本経済にマイナス」という理由にシールを貼った女性は、原発は無い方がいいが製造業の会社に勤めており、産業への影響は無視できないと語りました。また、原発を製造している会社に勤めているというsoudan男性は、「日本はこれまで原発のエネルギーのおかげで高度成長をしてきたのだから、感謝の気持ちを忘れないでほしい」と話していたのが印象的でした。

実際の国民投票では18歳や20歳など投票権者には年齢制限が課されますが、模擬「原発」国民投票は違います。小学校高学年の女の子数人が、しばらくボードをじっとみて、全員が顔色ひとつ変えずに「即時ゼロ」の「事故の被害が大きい。日本壊滅さえあった」にシールを貼り、静かに次のブースへと去っていきました。引率の女性に話しを聞いたところ、福島の子供たちをバス4台でアースディに招待して、グループに分かれて会場を見学していたそうです。

kodomoスタッフにとっても、刺激的な機会となりました。考えているのを邪魔しないようにしながら、悩んでいるようなら話しかけて、情報を伝えたり、質問したりします。大切なことは、参加者と議論することではなく、参加者の考えを引き出していくことです。自分と異なる意見の人の話を聞くことには、一定のストレスがかかります。傾聴者として、ファシリテーターとして、また楽しんで帰ってもらうためのエンターテナーとして、スタッフには技量が求められました。

当会としては今後、原発についての様々な意見や事実をしっかりと整理することが大切だと考えています。そして、簡潔な資料を作ったり、パネルを作成したりして、有意義な判断材料を提示していく。それらの材料は、今回のような模擬「原発」国民投票の

2日目の最後に記念撮影

2日目の最後に記念撮影

ときに使用するほか、ホームページに掲載したり、ワークショップの題材として活用していきたいと考えています。

「一般の日本人は議論ができない」「政治家より国民の方が愚かだ」。そういって「原発」国民投票の実施に反対する人がいます。私たちは「そんなことはない。原発の是非は、国民一人一人が考え、議論し、そして投票するにふさわしいテーマだ」ということを、模擬「原発」国民投票等の実践によって、これからも示していこうと思っています。