5月21日、スイスで原発国民投票が実施され、段階的脱原発の法案が可決

2017年5月21日(日)、スイスで新エネルギー法の是非を問う国民投票が行われ、賛成58.2%、反対41.8%で同法が可決されました。投票率は、42.3%でした。

新エネルギー法は「エネルギー戦略2050」をベースとしたもので、2050年までに再生可能エネルギーの促進と省エネを進め、脱原発を実現することが掲げられています。同法案は昨年10月に連邦議会で可決されたものの、5万筆以上の署名を提出すると議会で可決された法案を国民投票にかけることができるという制度に基づき、保守派の国民党を中心に反対派が署名を集め、今回の国民投票が実施されることになりました。

スイスでは、福島第一原発の事故をひとつのきっかけにエネルギー政策の転換が大きな政治的な課題となっていました。昨年の11月には、緑の党などが主導して脱原発をより促進する立場から、「エネルギー戦略2050」よりも脱原発の速度を早めることの是非を問う国民投票が実施され、その提案は否決されました。今回は逆に、保守派の国民党などが脱原発を否定して原発を維持していく立場から、「エネルギー戦略2050」を具現化する新エネルギー法の是非を問い、結果的に法案が国民に信任されることになりました。原発反対、原発維持の双方が主導して実現した二つの国民投票を経て、再生可能エネルギーと省エネを進めながら段階的に脱原発を実現していくという政府の方針が国民によって認められたといえるでしょう。

今回の国民投票の詳細については、swissinfo.ch(スイス公共放送協会(SRG SSR)国際部)の特集ページ「2017年5月21日の国民投票」が詳しく報じています。結果の分析や法案の説明はもちろん、賛否両派へのインタビューも掲載されています。ぜひこちらもご覧ください。

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