開催報告:無作為に選ばれた市民が原発について話し合った―「自分ごと化会議 in 松江」の実践から(動画あり)

8月1日に、福嶋浩彦さんをお招きして講演イベントを開催し、40名の方にご参加いただきました。今回は、「自分ごと化会議 in 松江」の取り組みについて、様々なエピソードを交えながらお話いただきました。この会議は71自治体で実施されましたが、市民が主催したのは松江市が初めてで、それ以外は行政や議会が主催しています。また「原発」をテーマにしたのも、松江での取り組みが最初で、誰もが知っているテーマということで選んだそうです。

「無作為抽出」で市民を選ぶ作業は、住民基本台帳から75人とばし2000人以上を書き写すことから始まりました。抽出した方々から希望者を募った際に、それまでの実績で最低1%の方が参加されるとのことで、最低20名の参加を目標に準備したそうです。実際に参加してくださった方は、「関心はあるけど、よくわからない」「もう少し色々聞いて、考えてみたい」という方々で、原発に関して何か自分で活動されている方はいませんでした。希望者を募る、有識者会議で議論する場合と違い、全員が全くフラットな方法によって選ばれているため、上下関係なく対等な立場での話し合いになったとのことです。専門家である大学教授や、中国電力、さよなら原発のグループの方からお話を聞く機会をつくり、その後20人が「私たちはどのように暮らしたいか」「どう有りたいのか」を議論する会を4回開いた後、提案書をまとめました。これまで、原発関連で「市民と会わない」と言っていた市長や世耕大臣も、直接提案を受け取ってくれたとのことです。

議論の様子は公開で、毎回50〜80人の傍聴があったそうですが、始まる前に「話し合いの最中の野次は禁止、ここで野次をするのは、民主主義に対する野次だ」と主催側が強く言ったため、終始、和やかに話し合いが営まれました。とくにシナリオは無く、その場で出た話の流れから次回の方向性を決めるなど、コーディネーターの手腕がかなり問われるようです。

これからは人口減少社会ということもあり、勝ち負けを数で競う民主主義から、対話で決める民主主義にしていくべきで、住民投票についても、「対話を深めてから行う住民投票は、民主主義が深められる」とのお話は、これまで会で様々な住民投票をみてきた経験からも納得の言葉でした。多様な意見を出し合い、フラットに話し合える場づくりはどんな課題であれ必要ですが、きちんと実現できているところは少ないように思います。こういう場をつくれるにはどうすればいいか、それぞれの活動の場で取り組めたらと思います。(文責:本村)

動画1:福嶋浩彦さんの講演パート(約1時間)
動画2:質疑応答パート(約45分)

2021年10月5日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:活動予定

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ