松江市でも直接請求署名活動がキックオフしました

●島根県松江市でも直接請求開始

11月29日(月)、島根県松江市で、市民団体「どうする?島根原発 みんなで決める松江の会」が、島根原発再稼働の是非を問う住民投票を求め、住民投票条例の制定を要求する直接請求運動を開始し、JR松江駅前で署名活動を行いました。

松江市の有権者数は169,454人(令和3年10月18日現在)。このうちの2%を上回る3,390筆の署名を1ヶ月間で集めることができれば、松江市議会に条例案を提出することができ、市議会で可決に至れば住民投票を実施することができます。署名開始時点での受任者数は2,500人。3,390筆の達成は容易に見込める受任者数ですが、会は民意の広がりを示すため、署名数の目標を6万筆としています。

●続発する直接請求運動

島根原発の30km圏内には、島根県側に出雲市・雲南市・松江市・安来市、鳥取県側に米子市・境港市と6つの基礎自治体があり、松江市での直接請求は、去る11月20日に同様の直接請求を開始した米子市、境港市に引き続き3例目。さらに来年1月には出雲市でも開始されることになっています。このように立地自治体及び周辺自治体で立て続けに住民投票運動が起きるというのは日本の政治史上恐らくはじめてのケースで、地元の人々の強い危機感を表していると言えるでしょう。 

島根原発の周辺30km圏内には46万人が暮らしており、島根県庁及び米子市以外の5市の市役所も30km圏内に含まれます(米子市役所も40km圏内)。出雲空港・米子空港も30km圏内。ひとたび原発事故が起きれば、都市機能の維持は極めて困難と言えます。

●複雑な民意と三択の条例案

松江市民の会が作成した住民投票条例案の特徴の一つに、再稼働の是非についての選択肢が「賛成」「保留」「反対」の三択になっている点があります。

NHKは12月1日付の記事で、「今年9月に市民団体及び島根県自治労が行った世論調査では、島根原発2号機の再稼働について、『再稼働してもいい』が17.7%だったのに対し『再稼働してはならない』は45.5%でした。」と報じています。 

https://www3.nhk.or.jp/lnews/matsue/20211201/4030010813.html

一方、山陰中央新報社が10月23日~26日に実施した世論調査では、島根県民の43.4%が「再稼働はやむを得ないが、できるだけ早く廃止」と回答。「できるだけ早く再稼働(20%)」「再稼働させてはならない(15%)」を大きく上回りました。

https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/114241

メディアに囲まれる事務局長

また、11月に会が行ったシール投票では9割の人が島根原発に疑問や不安、心配があると回答したそう。

このように設問の設定次第で回答のニュアンスが大きく異なってしまうような複雑な状況下、会としてかなりの議論を経て、的確に民意を反映させることを優先し「保留」という選択肢を設けることにしたとのこと。

当日駅頭で署名をされた方の中にも、記者の質問に対し再稼働には賛成と回答されるも複数見られ、民意の拮抗が窺えました。

●目標達成に向けて 

三上・元湖西市長

11月29日の署名活動開始に先立ち、11月28日には松江市総合福祉センターでキックオフ集会が行われ、100人を超える出席がありました。

基調講演を行った、脱原発をめざす首長会議世話人の三上元氏(前静岡県湖西市長)は、参加者から署名活動のコツについて聞かれ、自身が無名の新人として市長選に立候補した際のエピソードを紹介されました。市内の有権者に片っ端から後援会入会の案内をしていったら、有権者の⅓が後援会員になるに至り当選できた、地道にコツコツ集めるのが一番の方法だという三上氏の話に会場は大いに盛り上がりました。

会が掲げた目標署名数「6万筆」は有権者の約36%。記事冒頭にも書いた通り署名開始時点での受任者数は2,500人と発表されました。集会最後のリレートークには、みんなで決めよう「原発」国民投票のメンバーも参加し、受任者を6千人まで増やせば6万筆が見えてくる、現時点の2,500人は希望の持てる数字だと訴えエールを送りました。

どうする島根原発?みんなで決める松江の会 Webサイト

どうする島根原発?みんなで決める松江の会 FBページ

11/28「2021年度総会」のご案内

下記のとおり2021年度総会とイベントを開催します。会員の方は13時00分開始の総会からお越しください(賛同人・一般の方も参加できます。議決権は会員のみとなります)。2年に1回の総会となりますので、皆様と活発な議論を行えることを、運営委員会一同、心待ちにしています。

総会後はイベントを開催します。昨年開催された「気候市民会議さっぽろ2020」研究代表者の三上直之さん(北海道大学准教授)を講師にお話をおうかがいします。たくさんの方のご参加をお待ちしております。

【開催日】11月28日(日) オンライン開催

第一部 総会

1300分開始(開場1240分)~1400分終了

・報告事項:2020年度活動報告/会計報告(監査報告は後日行います。)
・審議事項:2021年度活動方針案/予算案/人事案

・総会に参加する方は、準備の都合上、前日までに info@gkokumintohyo.com までメールでご連絡ください。

申し込みされた方には、前日までに、イベントアドレスとパスワードをお伝えいたします。

※活動報告と活動方針案は、下記のファイルをご覧ください。他の議案については、総会当日に提示します。


※上記議案など当会活動についてのご意見は、Eメールでinfo@gkokumintohyo.com までお寄せください。

第二部 総会イベント 

「新たな民主主義への挑戦 ~気候市民会議さっぽろ2020から」(仮)
14時30分開始(開場14時20分)~16時00分終了予定

・講師:三上直之さん(気候市民会議さっぽろ2020 研究代表者、北海道大学准教授)

*イベントの詳細については、後日またご当Webサイトで紹介いたします。

2020年度拡大運営委員会のご報告

10月4日(日)、オンライン(ZOOM使用)とリアル会場を併用して、みんなで決めよう「原発」国民投票の2020年度の拡大運営委員会を開催しました。

2020年度の活動方針として、(1)鳥取の住民投票運動を支援すること、(2)総選挙時に立候補者への公開質問状を出すこと、(3)福島第一原発の事故および当会設立から10年を迎えるにあたりそれにふさわしい活動を行うことなどが確認されました。

下記に、報告・採択された文書および議事録を掲載いたします。
*リンクをクリックするとPDFファイルが開きます。

緊急共同声明:いばらき原発県民投票条例案は継続審議とすべきである

東海第二発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例案が6月23日の茨城県議会本会議で採択される予定ですが、これは継続審議とし、議論を深めていくべきだと考えます。

いばらき原発県民投票の会は6月22日(月)、全茨城県議宛に、継続審議を要望する文書を送付し、その文書をWebサイトに公開しました。また、「連合審査会における反対意見表明に対する指摘事項」を作成し、これも会のWebサイトに掲載しています。

(参考)いばらき原発県民投票の会Webサイトより
「継続審議の要望書」および「意見表明への所感」を公開しました

「連合審査会における反対意見表明に対する指摘事項」に詳しく記載があるように、18日に開催された連合審査会で採決直前に行われた反対意見表明では、条例案や住民投票全般に対する明らかな事実誤認や論理矛盾がいくつも見られました。また、反対意見表明には、参考人として呼ばれた有識者や請求代表者の発言を踏まえない箇所もいくつもありました。

1日だけというスピード委員会審議で、採決の決定前に論点を整理して議論を深めることは、どだい不可能だったのです。連合審査会で県議は口々に請求者への敬意を語りましたが、2か月間に及ぶ署名収集を経て直接請求がされ、提出がされた条例案に対して、たった1日しか委員会審議を行わないという態度は、到底86,703名の請求者に対し、敬意を払っているものとは思えません。

いばらき原発県民投票の会は「話そう 選ぼう いばらきの未来」という標語を掲げ、これまで活動を続けてきました。一方、県議のみなさんは「話そう」の専門家として、有権者から議席を託されていることと思います。条例案審議の段階でその「話そう」の思いが踏みにじられることは、あってはなりません。

いばらき県議会各会派・県議は、23日の本会議で条例案の採決をすることなく、継続審査とすることを主張していただきたい。

2020年6月22日
〇 みんなで決めよう「原発」国民投票  運営委員会
〇原発県民投票静岡2020 代表・中村英一
〇女川原発再稼働の是非をみんなで決める県民投票を実現する会
  代表・多々良哲
〇原発都民投票 請求代表者・高田恵理

5/10 Zoomイベント: 署名提出後に市民はどう動いたか – 東京、大阪、静岡の経験を茨城へ

【日時】5月10日(日)14:00~16:30
【場所】ZOOM(前日までに会議室のURLをお知らせします)

茨城県では、4月22日に直接請求の署名簿の本提出が終わり、5月25日に本請求が実施され、6月議会で県民投票条例案が審議される予定です。

今回、原発再稼働についての東京都民投票、大阪市民投票、静岡県民投票の直接請求運動を経験したメンバーに集まってもらい、署名提出後、議会採決に至るまでの市民によるロビー活動などを振り返ります。過去の経験を伝えることによって、これから県議へのロビー活動を展開する茨城の人たちに何らかのヒントを与えられればと思っています。

また、本イベントでテーマになるのは原発住民投票条例を求める直接請求ではありますが、原発問題に関わらず住民投票の直接請求に関心のある方、市民によるロビー活動に関心のある方などに、広くご参加いただければ幸いです。

【プログラム】(予定)

(1)茨城の状況報告
・徳田太郎(いばらき原発県民投票の会 共同代表)

(2) 東京「原発」都民投票
・報告:鹿野隆行(都民投票サポーター。原発国民投票 運営委員長)
・座談会:
 高田恵理(請求代表者)
  高橋直己(請求代表者)
 石崎大望(都民投票 事務所常駐スタッフ)

(3) 大阪「原発」市民投票
・報告者:森恭子(大阪市民投票 事務局スタッフ)
・松村志保 (請求代表者)

(4) 静岡県民投票
・報告者:北本智春(静岡市 清水区地域担当)
     久保田誠司(静岡市 受任者)
      中村英一(原発県民投票静岡 事務局次長)

(5) 質疑応答など

☆イベント終了後に、Zoomの同じ会議室でオンライン打ち上げ(飲み会)を開催する予定です。お時間のある方は、引き続き打ち上げにもご参加ください。

☆参加費無料

【主催】みんなで決めよう「原発」国民投票

【申し込み方法】
info@gkokumintohyo.com に「5/10 イベント申し込み」という件名で申し込みください。または、Facebookのイベントページで「参加」を押してください。前日までに参加用の会議室URLをお送りします。

※ZOOMを利用したことがない方は、以下のページを参照してください。

【PCから入る場合】
https://zoom-japan.net/manual/pc/join-zoom-meeting/

【スマートフォンの場合】
https://zoom-japan.net/join-zoom-from-smartphone/

【2/15イベント報告】 兵庫県西宮市にて”じっさいどうなん?「放射能測定マップ」読み解き講座in西宮

「みんなのデータサイト」の中村さん

2/15に、兵庫県西宮市にて”じっさいどうなん?「放射能測定マップ」読み解き講座in西宮 〜みんなのデータサイトさんと過去・現在・未来を考える〜”を開催しました。
https://facebook.com/events/s/833336617089150/

みんなのデータサイト」の中村さんからは、まず最初に福島県伊達市に住んでいる方が、福島原発事故当時のことを語った裁判の意見陳述書の一部を読み上げ、紹介されました。

その中には、何も知らなかった、知っていれば無用な被曝をしなかったかもしれない、という切実な思いが綴られていました。

その後、マップ集を作るまでのいきさつや、本の中身について、ギュギュッとまとめて紹介していただきました。

全国で31箇所の市民測定所ボランティアの方々が、東日本の食べものや土壌を採取し、ひとつひとつ積み重ねたデータがまとめられているこの資料集は、歴史に残る貴重なものだと改めて感じました。

また、書籍にしてISDNコードをつけると、国会図書館に必ず2冊収められることになっているそうで、空から測定したデータをまとめただけの国のデータよりも、土壌の測定値を積み重ねた市民の信頼できるデータを、事実としてしっかり後世に残していくために、書籍化という選択肢も市民活動を記録していく上で、大切だと感じました。

   阪神測定所の影山さん

中村さんから東日本についてお話いただいた後は、会場の近くにある阪神測定所の影山さんから、西宮で測定してきた内容について紹介していただきました。

福井県若狭湾岸にあるたくさんの原発が事故を起こせば、関西でも同じように影響はある。東日本で起きていることを、自分ごとに引きつけて聞くことができました。

また、西日本で手に入る食材や土壌でも、Cs137は検出されることがあり、それは福島原発事故以前の大気圏核実験による放射能が、今も残っているのだ、ということもわかりました。(Cs137の半減期は30年だから、核実験以来2回しか半減期は来てなくて、1/4になっただけで消えてない)

そして、オプショナルツアーの測定所訪問へ!

   阪神測定所の測定器

会場のあんのん舘から歩いて向かい、小さな路地の奥にある測定所さんへおじゃましました。

測定器は鉛でできた機体で、蓋を動かすのも重たく、外部からの自然放射能の影響による測定値のブレを避けるために、水を入れたペットボトルで覆われていました。

測定には1Lのサンプルが必要で、開始から12時間後に結果が出るそう。

とても有意義な時間で、初めて測定所を訪問した私は(きっと参加者のみなさんも)興味津々でした!

企画して良かったです^_^

参加してくださったみなさん、ありがとうございました!

(関西運営委員:本村)

☆みんなのデータサイトさんHP
https://minnanods.net/

いばらき原発県民投票 最初の週末のレポート!

<水戸駅前での署名活動>

1月6日(月)、市民グループ「いばらき原発県民投票の会」(以下、「県民投票の会」)が茨城県庁で大井川知事から「請求代表者証明書」の交付を受け、「東海第二発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例」(条例案PDF)を直接請求するための署名期間がスタートした。

署名期間は2か月間。ほとんどの自治体では3月6日が最終日となるが、選挙があるため中断したり開始が遅れたりする地域があるので、全44市町村で署名期間が終了するのは4月中旬になる。そして、5月25日に条例制定の本請求を行い、6月議会で条例案が審議されることを想定している。

直接請求を実施するために必要な法定署名数は有権者の2%、茨城県の場合は約4万9千筆だが、県民投票の会としては県議会で条例案を通すために政治家にプレッシャーをかけ「説得力のある直接請求」(共同代表・徳田さん)にするためにも、2%を超えて一筆でも多くの署名を集めることを目標に掲げている。

県民投票の会は署名集め開始までに、県内の39市町村で合計71回の「県民投票カフェ」と呼ばれる対話会を実施した。また、事前に集まった受任者(予定者)の数は3500人だ。私たちの会が実施または強く関与した東京、大阪、静岡、新潟などの過去の例と比較しても、入念な準備が重ねられたと言っていいだろう。

請求代表者には3人が就任した。県民投票の会の共同代表を務める鵜沢恵一さん(ひたちなか市在住)、姜咲知子さん(石岡市在住)、徳田太郎さん(つくば市在住)の3人がそのまま請求代表者となった。

署名方法の説明

水戸の会場で説明をする徳田共同代表

署名期間が始まってから最初の週末となる1月11日、12日、13日の三連休には、県内16地域で署名説明会が開かれ、同時に街頭署名も行われた。いわば、地域別のキックオフだ。そのうち、11日の土浦と12日の水戸の説明会に参加してみた。

土浦と水戸の説明会の両方で、まずは共同代表の徳田さんが直接請求の説明や署名集めの注意点について話をした。本業がファシリテーションだけあって、人前で話すのはお手の物。いつもの通り、冗談も交えながら、分かりやすく、そして淀みなく説明を進めていた。

参加者には「受任者セット」と呼ばれるものが配られ、これには手紙、署名マニュアル(クリックするとPDFファイルが開きます)、署名簿、返信用封筒、払い込み用紙の5点が含まれていた。このうち、徳田さんは署名簿を使って説明を行った。(なお、ここでは説明の詳細は割愛するので、その内容を知りたい方は動画「県民投票・署名簿が届いたら?」を見てほしい。また、コント形式の動画「県民投票 署名集め大丈夫?編 ☆注意点をコントで解説、徳田太郎と にゃーこ と ぴーこ」も分かりやすい。)

受任者セットに含まれる署名簿には、5筆の署名欄がある。面白いのは、徳田さんの言葉を借りれば「わたし、ちょっと頑張っちゃおうかなぁ」という人向けに、45筆版の署名簿も用意されていることだ。5筆版しかなければ、たくさん署名を集める人は何度も委任欄に委任状の情報を書かなければならず、手間がかかる。一方、45筆版しかなければ「こんなにたくさん集めなければならないのか」とプレッシャーを感じてしまい、受任者になるのをためらう人もいるかもしれない。また、45筆版があることで請求の要旨などのページを印刷する枚数が省け、印刷コストという点でも利点があるだろう。

署名簿返信用の封筒は料金受取人払いとなっているため、切手を貼らなくても県民投票の会の事務所にそのまま送付することができる。しかし徳田さんは「料金受取人払いなので、後で会の支出が凄いことになります。もしも、切手を貼ってやろうという方がいらっしゃいましたら、大変ありがたい」と、切手を貼ることで「活動費の支援」を行うことをお願いした。直接請求の活動では、印刷費と同様、郵送費に多大な資金が必要になり、切手代はバカにならない。

会場からの質問が集中したのが、署名の細かなルールについてだ。せっかく集めた署名が審査で無効と判断されてしまってはたまらないという、受任者の必死さが伝わってくる。県民投票の会では、署名集めの開始に先立って県内44市町村の選挙管理委員会に署名の有効・無効の判断についてルールの確認をした。しかし、選管によって回答が違うことがあったという。たとえば、記入を間違って二本線を引いて訂正する場合、「訂正印は不要」という選管と「訂正印が望ましい」という選管があった。県民投票の会は、各選挙管理委員会から集めた情報を総合的に勘案した上で、間違いがない方法として自ら署名集めのルールを定義したという。

本来であれば、直接請求は地方自治法に基づく全国で行われうる活動であるのだから、署名の細かなルールにも全国的な統一性があってしかるべきだと思う。管轄する総務省から何らかのガイドラインが出されるのが望ましいのではないだろうか。それがないにしても、せめて都道府県の選挙管理委員会が総括して、県内市町村の選挙管理委員会によって差異がでないように調整すべきではないかと思わされた。

県民投票の会は、署名簿返却の集約日を二日設定した。1月24日を一次集約日、2月14日を二次集約日としたのだ。直接請求の署名集めでよくあるのが、終盤まで署名集めの進捗が把握しづらいことだ。一般的に受任者は署名簿をため込んで、署名期間のギリギリにまとめて送付する傾向がある。複数回送付するのに比べて手間がかからないし、郵送費も節約できるのだから当然のことだろう。会ではそれを見越して、徳田さんも「できるだけ小出しに」送付してもらえるようお願いしていた。一次集約日までに集まった署名数は、2月4日に発表される予定だ。この数字は、メディアからも注目を集めることだろう。

土浦での作戦会議

<小グループでの作戦会議

茨城県は広く、中央集権的に事務局がすべてを管理するのは不可能だ。県民投票の会では、市町村別に「世話人」と呼ばれる人を置き、その人を中心に市町村の署名集めを推進している。

土浦市では、小野村さんという方が世話人を務める。署名説明会の後半は、徳田さんからバトンタッチされ小野村さんのリードで進められた。各地の世話人によって準備の仕方や進め方は様々だったようなので、以下は一つの地域の例として捉えてほしい。

まず、土浦市全体を対象とした次の受任者交流会の日程が決定された。2月11日に県民投票の会が主催して水戸市内で中間報告イベントが予定されているものの、水戸市民を除けばそこまで足を運べる受任者は一部に限られるだろう。地域で全体会議を行い、進捗を確認し、ベストプラクティスを共有し、そして更なる作戦を練ることが極めて重要になってくる。

投影されたDVDの一コマ

小野村さんは次に、原発都民投票の会が作成したDVDの一部の映像を紹介して、署名集め用のバインダーキットや署名の集め方についての過去の例を示した。バインダーの実物を裏返してみせ、裏側に朱肉とティッシュが貼り付けられていることを説明すると、会場から感心する声が聞こえた。小野村さんは、参加者全員に配れるように事前にバインダーキットを用意しており(ただし、受任者が好きなようにアレンジできるように未組み立て)、説明会が終わってから土浦駅前で行われた署名活動では、受任者一人一人がマイ・バインダーを手にして署名活動に向かうことができた。

その後、参加者が地域別の小グループに分けられ、作戦会議がスタートした。 各グループに配られた白地図を見ながら、どこでどのように署名を集めれば効果的かが話し合われた。特に今後数回の活動を決めるのは重要だ。効率的に戸別訪問ができる団地や、署名スポットにできそうなスーパーなどの情報は小野村さんから提供されていた。隣の阿見町からも受任者が何人か参加しており、土浦市と阿見町の両方の市民が利用する駅で街頭署名活動をする際には、二つグループが共同して活動することなども確認された。

<土浦駅前での署名活動>

説明会の終了後、いよいよ土浦駅前デッキでの署名活動が始まった。少し緊張していそうな人もいた。もしかしたら、署名集めをするのが人生で初めての人もいたかもしれない。そこが、原発住民投票運動のいいところだ。市民運動をライフワークにしているような人も頼もしい限りだが、そうではない多様な人たちが参加するからこそ、この運動は面白いし、大きなムーブメントに発展させられる可能性を持っていると思う。

私も道行く人に声をかけながら、県民投票のチラシを配布した。受け取ってくれた人には署名をしてくださいとお願いして、OKがでれば受任者を呼んで署名をしてもらう。迷っている人には「地方自治法に基づいた正式な署名です。有権者の2%の署名を集めると必ず議会に県民投票の条例案を提出できるんです」とプッシュすると、何人かが署名に応じてくれた。街頭署名では、伝える内容もさることながら、一生懸命話して熱意を伝えることも大切だと思う。

署名をしてくれた人には、「一筆でも構わないので、ご家族やご友人から署名を集めることはできないでしょうか?」と尋ね、改めてチラシを見てもらう。読めば県民投票運動の概要が分かるのみならず、このチラシには受任者になり署名簿の郵送を依頼するためのハガキも付いている。署名数を広げていくためには、街頭で署名してくれた人に受任者になるよう働きかけることも重要だ。

水戸でのキックオフ

県民投票への思いを語る鵜沢共同代表

水戸では、3人の請求代表者が集結した。請求代表者の一人の鵜沢恵一さんは、原発問題のみならず、貧困などの他の問題も含め「いろんな考えの方がいろんな思いでちゃんと語れる社会」「議論して、対話して、一番いい社会はどういうものなのか、と話し合える社会」を目指しており、そのきっかけとなる県民投票には非常に共感できる、と運動に参加する理由を語った。(もう少し詳しい内容については、Webサイト掲載の鵜沢さんのメッセージをご覧ください)

また同じく請求代表者の姜咲知子さんは、「自分たちの食べ物を自分たちで作りたい」という思いから45年前に設立された農場で働き、暮らしていて、これは「自分たちのことを自分たちで決められる」社会を目指す県民投票とリンクしていると述べた。また「年配の方も、若いお母さんも、サラリーマンの方も、多様な方々が一緒に活動できる」ことを県民投票運動の良いところとして挙げた。

説明会の終了後、水戸駅北口と南口のデッキに分かれて、雨が降る中署名活動に多くの受任者が参加した。

●請求の要旨

水戸での署名説明会が始まる直前、配られた資料に目を通していると、共同代表の姜さんに「請求の要旨、良くないですか?各地の請求の要旨をよく読んだうえで、かなりの議論を重ねて決まったものなんですよ」と声をかけられた。確かに良くできている。茨城の請求の要旨(クリックするとPDFが開き、全文を確認できます)に特徴的なところを幾つかピックアップしたいと思う。

  • 「福島第一原発」「放射能」という単語が登場しない。脱原発色が無いよう徹底されているように思える。
  • なぜ県民投票が求められるのかの理由付けの前提として「団体自治」と「住民自治」に触れている。
  • 「熟議と対話」という言葉を入れている。「対話カフェ」を積み重ねてきた会の想いが感じられる。
  • なぜアンケート調査や選挙ではダメなのかを指摘し、「間接民主主義を補完する手段」として住民投票を位置づけた。いわば、議会審議で予想される県民投票反対論に対する反駁を埋め込んでいる。

クラウドファンディング

他にもこの運動の特色として挙げられるのが、クラウドファンディングを活用した資金集めだろう。静岡県御前崎市での住民投票の直接請求運動でもクラウドファンディングが利用されたが、原発住民投票を求める直接請求運動でクラウドファンディングが利用されたのは今回が日本で初めてだ。

クラウドファンディングのページを開くと、ポップなイラストが目に入ってくる。「茨城県初県民投票を実現したい!話そう 選ぼう いばらきの未来」というタイトルを体現するかのように、市民の参加により茨城の明るい未来が選ばれていく姿が描かれている。

目標金額を達成した場合のみ資金を受け取ることができる方式が採用されており、その金額は150万円に設定された。しかし、目標額の倍以上のお金を集めたいところだ。というのも、クラウドファンディングを開始するまでにかかった経費は約150万円。今後かかると見積もられている経費が350万円だからだ。

お金があればあるだけ効果的なキャンペーンを展開できるのだから、「これだけあれば十分」という数字は実際には存在しない。たとえば、都民投票のときは終盤に受任者にハガキを出して署名簿の返送をお願いしたが、これには相当なお金がかかった。また余裕があれば、愛媛県八幡浜市での直接請求署名収集で何度か行われたように、(茨城の場合は地域を絞ってということになるだろうが)新聞折り込みでチラシを配布することも可能になるだろう。

協力者へのリターンには魅力的な内容が並び、工夫が感じられるものになっている。県内外の31人の作家から協力を得て、陶芸などの作品が用意されていることが一番の特徴だろう。また、講座やワークショップの開催権も面白い。お礼のメール、進捗連絡、Facebookグループへの招待、報告書の送付といったリターンもある。

また新着メッセージページには、当会の賛同人でもある想田和弘さん(映像作家)が応援メッセージを寄せているほか、共同代表やリターン提供者のメッセージも掲載されている。筆者も、みんなで決めよう「原発」国民投票を代表してメッセージを寄せているので、ぜひ読んでみてほしい。 応援コメントもぞくぞく寄せられており、共同代表の姜さんが一つ一つのコメントに丁寧に返信しているところが印象的だ。

今後の動きと私たちにできること

今後の大きな動きとしては、2月11日に署名期間の中間イベントとして水戸市内の茨城県立青少年会館で「県民投票フェス vol.5 全国の経験者と語る 県民投票トークライブ」が開催される。東京、新潟、静岡、宮城、沖縄の直接請求に関わったメンバーが集結してシンポジウムなどが行われるのだ。筆者も、みんなで決めよう「原発」国民投票を代表してイベントに参加する予定だ。

茨城県民でなくても、どこに住んでいても実施できるのは資金的な援助だ。既に述べたクラウドファンディングの他、銀行振込、郵便振替、クレジットカードでの寄付もできるようになっている。詳しくは、いばらき原発県民投票の会のWebサイトを確認していただきたい。

また、会のFacebookページ会のTwitterアカウントをフォローして、その投稿を拡散してほしい。その結果全国にこの運動が知られるようになれば、それは回りまわって茨城県民にも届きやすくなるだろう。もちろん、茨城県民に知り合いがいれば、この署名集めについて直接知らせることは最も効果的だ。また、特に関東の人には、ぜひ一度だけでも現地に足を運んで、署名活動の応援に参加してもらいたい。いつどこに行けばいいのかは調整をするので、みんなで決めよう「原発」国民投票までご連絡いただきたい。  (運営委員長・鹿野)

事務局からのお知らせ(2020-1A)

運営委員長の鹿野です。

いばらき県で、原発県民投票を求める直接請求の
署名集めが始まりました。

国民投票の会としては、引き続きサポートをしていきます。
今週末には、私も現地に入ります。

みなさんもぜひ、情報拡散やクラウドファンディング参加などで
ご協力をお願いいたします。

下記3点、お知らせいたします。

■Topics 
□ 1/6 いばらき原発県民投票 直接請求の署名開始!
□ 原発県民投票 クラウドファンディングご協力のお願い
□ 2/15 じっさいどうなん?「放射能測定マップ」読み解き講座
in 西宮 ~みんなのデータサイトさんと過去・現在・未来を考える

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□ 1/6 いばらき原発県民投票 直接請求の署名開始!
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1月6日、 「東海第二発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例」
の制定を目指す直接請求の署名集めがスタートしました。

「いばらき原発県民投票の会」の公式メディアをフォローして
ぜひ最新情報をご確認ください。また、情報の拡散をお願いします。

説明会や街頭署名の予定はWebサイトに詳しく掲載されています。

Webサイト 
Facebookページ 
Twitterアカウント

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□ 原発県民投票 クラウドファンディングご協力のお願い
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1月9日、いばらき原発県民投票の会がクラウドファンディング
による資金集めを開始しました。

下記ページでは会の活動が簡潔にまとめられています。
また、オリジナリティーのあるリターンも興味深いです。

ぜひ一度ご覧ください!全国から協力しましょう。

⇒  READY FOR 茨城県初県民投票を実現したい!話そう 選ぼう いばらきの未来

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□ 2/15 じっさいどうなん?「放射能測定マップ」読み解き講座
in 西宮 ~みんなのデータサイトさんと過去・現在・未来を考える
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2011年3月11日に起きた東日本大震災から、もうすぐ9年。

福島第一原発の爆発で広がってしまった放射能は、東日本一帯に
どのように存在しているのか。客観的事実を知りたいと、各地の
土や食べものの放射性物質測定データをマップ上に載せていく、
4000人のボランティアさんの地道な作業を積み重ねて、
一冊の資料集「図説 17都県 放射能測定マップ+読み解き集」
が作られました。

この本の企画・製作に携わった「みんなのデータサイト」
事務局の中村奈保子さんをお招きし、お話を伺います。

○日時:2/15(土) 14:30~16:30 (14:00受付スタート)
○場所:あんのん舘 (阪神西宮駅 徒歩3分)

申し込み方法など詳細はこちら
⇒ 当サイトページ:2/15 じっさいどうなん?「放射能測定マップ」読み解き講座 in 西宮 〜みんなのデータサイトさんと過去・現在・未来を考える